グリンダムの王族
晩餐会でも当然2人には隣同士の席が用意された。
その場に貴族達が入れ替わり立ち代わり挨拶に来る。

それに対し、セシルが笑顔で応対している。

「大国グリンダムとの同盟があれば、ファラントは安泰ですな」

貴族の男がそんなおべっかを言っている。
セシルはやわらかく微笑むと、

「グリンダムも、ファラントの豊かさに助けられることと思います」

と応える。完全に余所行きの顔になっている。

お酒のせいか、男はご機嫌だった。

「お世継ぎの誕生が待ち遠しい限りです。
ご懐妊の吉報はまだ聞けませんかな?」

調子にのってそんなことを問いかける。

「そうですね。こればかりはいつになることか、、、。
神様にお任せいたしますわ。」

セシルは笑顔でそう答えた。
クリスはその言葉に目を伏せた。

子供などできるはずもない。
グリンダムの血をファラントに入れる気などないと言ったのは自分だった。

そう言ったのは何故だったか、、、。
自分はセシルの何を憎んでいたのか。

クリスにはよく分からなかった。
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