グリンダムの王族
クリスはぐっと言葉を詰まらせる。セシルはそんなクリスを睨んだ。

「束縛されるの嫌いなの。
剣の稽古の間は放っておいてって言ってるでしょ?」

クリスは即座に、「いやだ」と言う。

「目を離すとお前はすぐ男と2人で長々と話し込んだりして危なっかしい」

「どう危ないのよ!
私がもし誘ったって、誰も乗ってこないわよ。
何もできっこないじゃない」

クリスはセシルの言葉に目を見開いて固まった。

「、、、誘ったのか、、、」

「例えばの話!!!」

セシルはそう怒鳴ると、クリスに背を向けて歩き出した。

邪魔がはいったので剣の稽古は切り上げるしかない。
この状態のクリスを前に誰も相手などできないだろう。
クリスが後ろから追いかけるように付いてきている。
セシルはため息をついた。

クリスの態度が変わってからというもの、セシルにとっては”クリスからの新たな嫌がらせ”が始まった気分だった。

セシルの行動を監視したいのか、どこでも付いてこようとする。
ちょっと他の男と話をするとギャァギャァ騒ぐ。
おちおち剣の稽古もできない。

「セシル、どこいくんだよ」

後ろからクリスが問いかける。セシルは、「あなたの居ないところ」と冷たく言い放った。
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