グリンダムの王族
ファラント王国の馬車が到着したという知らせに、リズはお妃教育を中断して前庭に急いだ。
後宮で苦しかった時に救ってくれたセシル姫を出迎えたかった。
前庭にはカインが同じように出迎えるために出てきていた。

ファラントの馬車がゆっくりと城に入ってきている。
カインはリズの姿を見つけて微笑むと、手を差し伸べた。
リズは彼のもとへ駆け寄った。

カインの手がリズの肩を抱き寄せて、亜麻色の髪に優しく口付ける。

「お前も出迎えに来たんだ」

「はい。是非お会いしたくて」

ファラントの馬車が止まり、騎士がその扉を開けた。
ゆっくり降りてきた人物を見て、カインは目を丸くした。

「クリス王子、、、」

リズも驚いて固まっている。

クリスの目がリズとカインを見つけて、少し驚いたように動きを止めた。
クリスの後ろから、セシルもゆっくり姿を現した。兄の姿に笑顔になる。

カインはそんな2人を見ながら、「王子まで来ると思ってなかった」とぼそっと呟いた。



クリスは目の前の光景に呆然としていた。
リズがグリンダムの王弟に寄り添うようにして立っている。
彼の手はリズの肩を抱いていた。
思わずセシルを見ると、「なんだあれ」と問いかける。

セシルはクリスの視線を追い、「あぁ、、、」と言った。

「色々あって、リズは今カインの側室なの」

その言葉にクリスが信じられないというように顔をしかめた。
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