グリンダムの王族

馬車から降りたクリスとセシルは、カインのもとへ進んだ。カインもリズを離し、一歩前に出る。

「お疲れ」

カインがセシルに声をかけた。そしてクリス王子を見ると、

「クリス王子も有難うございます。
兄のためにわざわざ、、、」

と言った。

クリスは複雑な表情でカインとリズを見ている。
セシルはそんなクリスには構わずに、「ラルフ、本当に病気なの?」と聞いた。

「いや、嘘だよ」

カインは平然と答える。その言葉にクリスが目を見開いて固まった。
わざわざ来たのに、嘘だったとは、、、。

「やっぱりねぇ」

隣のセシルがあっけらかんとそう言った。

「誰を病気にさせるか考えたんだけど、あえて嘘っぽくしてみた。
心配させるのも悪いし」

「だったら”病の床で妹の名前を呼んでる”とか書いておいてくれればよかったのに。
絶対信じなかったわ」

そう話しながら笑いあう兄妹の隣で、リズとクリスの目が合った。

リズはクリスに優しく微笑んだ。
クリスはその笑顔に胸が痛むのを感じた。
自分のせいで運命を狂わされた少女。
自分の独りよがりな行動のせいで。

”好きとか言いながら、押し付けるばっかり。
私の都合も気持ちも完全無視じゃない”

セシルの言葉が、改めて彼の胸を刺した。
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