グリンダムの王族
クリスがラルフから目を離して俯く。セシルも何も言えなかった。

ラルフの言うことは正しいかもしれない。
あちらが人を送り込んだ時点で、戦は始まっているとも言える。
それを避ける手はもう無いのかもしれない。

セシルは頷いた。

「、、、分かった」

クリスがセシルを見る。セシルは真っ直ぐラルフを見ている。

「勝算があるんでしょ?ただの復讐戦じゃないわよね」

そう言って少し間をおくと、「ファラントはどうすればいいの?」と聞いた。

ラルフが笑みを浮かべる。

「兵を貸してもらう可能性は高い」

クリスは何も言わずに呆然としている。
セシルが頷いて、「そうなるわよね」と言った。

「でも、ファラントを戦場にしないで」

セシルは真っ直ぐラルフを見て言った。
ラルフがちょっと眉を上げる。

「確かに同盟国だけど、グリンダムとの同盟によって国の鉱山が奪われて、おまけに戦場にされるとなったら何のための同盟なの?
私はファラントで大事にしてもらってる。グリンダムはファラントに何をしてあげられるの?こういう時に守ってあげてこその同盟でしょ?」

ラルフは落ち着いた目でセシルを見ている。

クリスはしばらくセシルの横顔を見ていたが、やがてその目を伏せて俯いた。
カインは口元に笑みを浮かべて兄と妹を眺めている。
ラルフは目を閉じると、ゆっくりと頷いた。

「、、、考えておこう」

彼はそれだけ言うと、考え込むように黙り込んだ。

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