グリンダムの王族
やっと見せてくれたその笑顔は、とても魅力的だった。
クリスは少女を見ながら、自然と胸が高鳴るのを感じていた。

「きみ、、、名前なんていうの?」

思わず聞いていた。少女がちょっと意外そうな顔をして固まる。

クリスは慌てて、「あ、俺はクリスっていうんだけど」と名乗った。

少女はそれに応えるように、

「私はリズです。リズ・アンダーソンです」

と言った。

ふと彼女の馬が湖から顔を上げた。
もう水は飲み終わったらしい。
リズはそれに気付き、馬に向いてその首を優しく叩いた。

クリスは彼女が用事を終えたことに気付いて、ちょっと焦った。
彼女は馬の手綱を取ると、クリスの方を見た。

「それじゃ、、、」

「―――待って!」

その別れの言葉を遮るように、クリスはそう声を出していた。
リズがクリスの言葉に驚いたように目を丸くする。
クリスも一瞬言葉を失って固まってしまう。
呼び止めておいて、自分で自分に驚いた。

とっさに何を言えばいいか分からなくなる。
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