グリンダムの王族
「、、、アラン」

呼びかけると、「はい」といつものように応える。
優しい低い声。

「信じないかもしれないけど、、、。
私、あなたを、、、」

―――愛していたの。

口に出すことができない。
伝えたくてたまらないけど、伝えても仕方がないから。
どうしても、自分はファラントの王子妃である現実は変わらない。

口を閉ざしたセシルの耳に、アランの声が聞こえた。

「、、、私もです」

セシルが固まる。

「信じて頂けないかもしれませんが、、、」

アランの言葉にセシルは彼の体を離した。
そして彼の目を見る。アランの黒い瞳が、じっとセシルを見ている。
セシルはふっと微笑んだ。

「、、、ありがとう」

アランは何も言わない。
セシルはアランから離れ、一歩さがった。

「―――これでやっと、終わりにできる、、、」

セシルが言った。
その言葉に、アランも哀しげに微笑んだ。

「、、、私もです」

セシルは黙ってアランを見ていたが、ゆっくり口を開いた。
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