グリンダムの王族
「ラルフをお願い、、、」

「、、、はい」

「グリンダムをお願いね」

「、、、はい」

セシルは少しの間をおくと、深呼吸した。

「―――あなたに教えてもらったこと、忘れない」

吐き出すようにそう言った。

アランは何も言わずにじっとセシルを見ている。
セシルは思い切るように、彼に背を向けた。
そして歩き出した。

”私もです。
信じて頂けないかも知れませんが、、、”

彼の言葉が頭に何度も響いた。
愛していたとは言えなかった。でも伝わってしまった。
いとも簡単に。

セシルの頬を暖かい涙が流れた。

「、、、信じるに決まってるじゃない、、、」

一度も振り返らずに去っていくセシルの背中を、アランはずっと立ち尽くしたまま見送っていた。

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