グリンダムの王族
大義名分もなく戦をしかけるというのは、彼の騎士道に反するのだろう。

しかも宣戦布告の予定もなく、不意打ちを狙っているのだからなおのことである。
彼がそういった反応を示すのはラルフの予想の範囲内だった。
彼から用意された言葉を吐く。

「それでいい。国王の意志だ」

ラルフにとっては、何より大事なのは”ファラントを戦場にしない”ことであった。
セシルにそう言われて以降、ラルフは戦場をゴード王国にするための方法を考え、そして今回のような動きに出た。

相手が確実に油断している期間内に進軍し、攻め込む。
カインはファラントから。ラルフはアルンハイムから向かう。
ゴードの前後を挟むような動きになる。

ラルフの軍は、明日ラルフを追って発つ予定である。
彼等がラルフに追いつく前にギルバードの件は決着をつける必要がある。

”行動に出ればそれが最善だが、出なければ戦はただの侵略戦争になる。
この際、それでもいい”

ラルフはそう言っていた。

”その場合、ギルバードはどうする?”

そう聞いたカインに、彼は

”必要があれば、王である俺が斬るしかない”

と言っていた。

「、、、もし、、、もし、万が一、
ギルバードが目的を果たしてしまった場合には、、、?」

将軍の当然の疑問にカインはふっと笑みを漏らした。

「その場合、軍の指揮は将軍に一任する。
それこそ大義名分だ。迷い無く、攻め入ってくれ」

結局、将軍は王の意志には逆らえなかった。

カインの軍にはアランが。ラルフの軍には将軍が付くことになった。

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