グリンダムの王族
アルンハイムへ向かうラルフと近衛騎士隊数人は、その夜途中の街で滞在することになった。

宿泊先として選ばれた宿は貸しきりとなっており、王は1人で一室を使用する。

宿の前には見張りが付いたが、特に部屋には付けなかった。
まだグリンダムを出ていないことを理由に警備は手薄い。

―――やるなら今だぞ、ギルバード。

ラルフは剣を手にすると、部屋の灯りを吹き消した。



この機を逃す手はない。ギルバードは深夜に動き出した。

宿の前には見張りが居るが、本当の敵は内部に居る。
彼はそんなことを考えながら笑みを浮かべた。

王の部屋の前は不気味なほど静かだった。
ギルバードは周囲を見回す。誰も現れる気配はない。

今日の宿は王と騎士隊で借り切っている。
王の部屋のある階には、他の誰も泊まっていない。

そしてそこに見張りも立っていない。
これ以上ないほど、好都合だった。

王の部屋の扉に手をかける。
当然鍵がかかっていた。暗闇の中、ギルバードはその鍵穴に針金を入れた。
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