グリンダムの王族
リズは王が用意した支度金と引き換えに、慌しくアンダーソン家を連れ出された。
王の望みとあれば、両親がそれを止めることなどできるはずもなかった。

近衛騎士隊長の用意した馬車に乗せられたリズは、信じられない思いで窓から自分の家を見た。
両親がすがるような目で自分を見ている。
その目を何も言えずに見返す。
別れは、あまりにも突然だった。

―――どうして、、、?

心の中で何度も同じ言葉を繰り返す。

ふとリズの手が自分の首にかかる首飾りに触れた。
クリスから預かった、”もう一度会う”約束の印。
その瞬間、リズの目に急速に涙が湧き上がった。

近衛騎士隊長の前で、嗚咽を漏らす。
彼は必死で声を殺しながら泣くリズを見ながら、苦しげに顔をゆがめていた。



リズとともに城に戻ったジョルジュは、リズを後宮の侍女に任せ、ラルフの部屋に向かった、

「お連れしました」

ジョルジュの報告に、ラルフは静かに頷いた。

「ご苦労だった。
彼女に付いた女官に伝えろ。
彼女を身支度させ、待たせておくように。後で行く」

ジョルジュはその言葉に、「かしこまりました」と言って頭を下げた。

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