グリンダムの王族
その夜また、カインはリズの部屋へと向かった。

セシルは本当にリズを誘って食事をしたのだろうか。
いったいどんな話をしたのか興味があった。

リズの部屋に着くと部屋の外の見張りに「今日は侍女は早くに退出していて、今お1人です」と言われる。

カインは頷くと、部屋に入って行った。

部屋の中はやけに静かだった。
灯りも燈されていない。窓からの月明かりだけが部屋を照らしていた。

テーブルに夕食が準備されているが手を付けた様子もない。
カインは目をパチクリさせつつ、辺りを見ながら歩いた。
そして寝台の置いてある続き部屋へと向かった。

ふと寝台の上に寝るリズの姿を見つけ、そばに寄った。
リズは本を片手にすやすやと眠っている。
カインはその姿に思わず吹き出した。
いかにも本を読みながら寝てしまったという様子が、なんだか可愛らしい。

リズの手からそっと本を取ると、それを寝台のサイドテーブルに置いた。
そして自分も寝台に乗る。

カインはリズの隣に横になると、腕枕で頭を支えつつ、その寝顔を観察した。

いつも自分を警戒して緊張しているリズの、そんな安らかな顔は初めて見た気がする。
自然に笑みが零れた。
目を閉じているためか、長い睫が際立っている。
そっと手を延ばし、白い滑らかな頬に触れてみる。
よく眠っていて、全く起きる気配が無い。

カインはリズの体に腕を回し、その体を抱きかかえるようにして寝転がった。

そして自分も同じように目を閉じた。
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