グリンダムの王族
その反応で、リズは自分が王弟の側室なのだということを思い出す。
仕事をさせろと言われて、簡単に”それじゃ、お願いします”とも言えないだろう。

「あの、、、少しやってみたいかなと、思うんですが、、、」

言い方を変えてみると、男は「あ、はい、、、。どうぞ。問題ありません、、、」と応えた。

ララはぽかんとしてリズと男のやりとりを聞いている。
男はララに、「それじゃ、ララ。リズ様に道具をお渡ししろ」と指示を出した。

ララは「はい、、、」と応えると、引き出しからナイフを取り出した。

「皮を剥くだけでいい?」

リズはそれを受け取りながら聞いた。

「はい。大丈夫です」

ララがそう答える。
リズは呆然と自分を見る男に構わず、早速作業を開始した。
男はやがてその場を離れ、仕事へ戻っていった。

リズはララの隣で黙々と作業をした。
そんな家事をするのは久しぶりで、なんだか懐かしく、そしてちょっと楽しかった。
思わず夢中になってしまう。
手にもった野菜はするすると皮が剥かれていく。

剥いた野菜を籠に入れると、隣のララがそれを見て「お上手ですね、、、」と呟いた。
< 95 / 265 >

この作品をシェア

pagetop