グリンダムの王族
リズはちょっと笑うと、次の野菜に手を延ばしながら「つい最近まで平民だったから、、、」と言った。

「そうなんですか、、、?」

ララは驚いたように目を丸くする。

リズが「タトルの村に住んでいたの。、、、知ってる?」と聞いてみると、ララはぱぁっと顔を輝かせた。

「知っています!私はアトラスの村に住んでいるんです」

それはタトルの隣の村で、リズもよく知っているところだった。
なんだか嬉しくなって「アトラス知ってる、、、!」と声を上げる。

「タトルの村の人がお妃様になったなんて、、、すごいです。
アトラスでは有り得ないことです」

ララは手を忙しく動かしながら、興奮気味に言った。
先ほどまでの緊張感はすっかり消え去っている。

「タトルでも普通有り得ないんだけど、、、」

リズは思わず苦笑した。

「どのようにしてカイン様に見初められたんですか??」

「見初められてはいないんだけど、、、」

ララの楽しそうな問いかけに、リズは困ったような笑みを漏らす。
けれどもそんな気軽な会話は久し振りで楽しかった。

2人は仕事を続けながら、その後もいろんな話をした。
懐かしい村の話、街のパン屋の話、そしてララの話、、、。
夢中で話しているうちに野菜はすっかり下ごしらえを終えてしまった。

「すごく早く終わりました。
リズ様のおかげです。ありがとうございました!」

リズは仕事が終わってしまってなんだか寂しくなった。
仕事をするのも、ララと話すのも、本当に楽しかった。

思わず、「他になにかやることある?」と聞いていた。
ララはその言葉に驚いたように目を丸くした。
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