グリンダムの王族
その夜、リズの部屋を訪れたカインは見張りの兵士にリズがまだ戻っていないことを聞いて驚いていた。

もう夜は更けている。

「パンを焼くのって、何時間かかるんだ?」

カインは言いながらリズの部屋を後にした。
自分の部屋に戻ろうと歩きかけたが、ふと足を止める。

「行ってみるか、、、」

カインは呟きながら、その足を厨房のほうへ向けた。



厨房では、皆が夕食後の片付けに奔走していた。

突然現れたカインの側室であるリズの存在も、いつの間にか意識の外に追いやられている。

彼女の格好からして、全く側室という雰囲気が無いせいもあるかもしれない。
リズはすっかり侍女達の中になじんでいた。

リズはララの隣で、今はせっせと食器を洗っていた。
結局パンは焼いていなかった。
夕食の支度、そしてその後片付けと、いろいろと手伝って今に至る。

厨房の仕事はなかなか落ち着きそうになかった。
< 97 / 265 >

この作品をシェア

pagetop