男子、恋をする
その反応を見た似た者同士たちは、同じタイミングでバカでかい拍手を遠慮がちな寿梨に送ってる。
ハイテンションな二人に、照れたような困ったような曖昧な表情を浮かべた後、
「頑張ろうな」
もう一度視線を合わせた会長が、寿梨の頭をくしゃりと撫でた。
その瞬間。
「……あっ」
寿梨が会長を見上げて浮かべた表情は、初めて音楽室で会った時に見せたあの笑顔で……。
パイプ椅子からぼんやり見つめる俺の目は、珍しいモノに出会った時みたいに視線が外せなくなっていた。
那津が言ってたみたく、確かに笑うと……可愛く見えなくなくもない……気がする。
いや、これはあくまでも普段とのギャップが激しいから錯覚してるだけだ。
そうに違いない、絶対……。
一人頭の中でふっと血迷った自分自身に散々言い訳しまくった。
……我ながらマヌケだな。
「ほーら澪斗! せっかくヒロインが決まったんだからこっち来なよー」
こう言って那津に来い来いと手招きされ、気持ちを切り替えるように立ち上がる。
どーせ文化祭までの仲だし。
……適当にやり過ごすか。