男子、恋をする

汝の敵を愛せよ。


かつてキリストが説いた、言わずと知れた有り難いお言葉だ。


別にクリスチャンでもなんでも無いけど。

人気者の模範生徒としては、それくらいの広い懐で接してやろうと思う。



……ていうか、ぶっちゃけると一方的に嫌われてるのが癪でムカつくだけだけど。



理由は何にしろ。
これから文化祭までの三週間を共にする相手。
知っているに越したことはない。




というワケで、今日はヒロイン江藤 寿梨の一日を観察してみることにした。



まずは登校の風景からだ。
そう思い、いつもより早めに登校するや否や玄関の柱の影に隠れるコト十数分。



相変わらず陰気なオーラと薄い存在感を漂わせた寿梨が、ふらっと靴箱の前に現れた。



「でっさー、そいつ超しつこいのー」


「えー。マジウザいじゃん!」



ペチャクチャと下品に喋りまくる女子たちの背後で、まるで亡霊みたいに立ち尽くしてる寿梨。


どうやら、下品な女子たちのせいで靴が履き替えられないらしい……。



気配が薄すぎて気付かれないんだな。

ましてや自分で言えるような性格でも無さそうだし……。


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