男子、恋をする
小さい背中を更に縮め、廊下の隅っこを歩いていく。
ただでさえ薄い存在感がますます薄くなってる……。
せっかくヒロインに選ばれたんだからもっと堂々としなよ。
ホント、見てるだけでイライラするっての。
「何やってんだ?」
「っ!?」
イライラして周りの気配に気付くのが一歩遅れた。
せっかくうるさい女子たちからも見つからないように身を潜めていたのに……。
覚悟を決めて恐る恐る振り返った先には、
「……なんだ那津か」
不思議そうに柱の影に居る俺を覗き込んでくる那津の姿。
……ビビって損した。
「そんなとこで何か見てたんか? ……て、あっ。もしかしてジュリエットちゃん?」
安堵の表情を浮かべる俺に構わず、俺の視界の先を探るように那津が目を向ける。
「あれでも一応ヒロインだからな。一応どんなのか知っとこうと思ってだな……」
柱の影にコソコソと隠れながらもっともらしいコトを言ってみせる俺に、那津はなんだか嫌味にニタッと笑った。