男子、恋をする
「おーいっ! ジュリエットちゃん!」
「あっ!」
廊下中の人間が振り返るような声で呼ばれ、今まで消えかけていた寿梨の存在感が一気に増す。
廊下の隅っこでは、真っ直ぐ自分の方へ駆け寄ってくる那津にビックリして固まってる寿梨が居た。
「はよッス!」
バカまるだしの笑顔と挨拶にキョドキョドと視線を泳がせた後、目の前の那津に観念したように深々とお辞儀をする。
バカ那津相手にそんなコトせんでいいのに……。
案の定那津はそれを気に留めるでもなく、ベラベラと何やら話し掛け、
「……んっ?」
何故か二人の視線が同時にこちらを向き、
「げっ……」
那津が俺の存在をあっさりとバラしてしまった……。
思わず露骨にマズイって顔したら、困り顔の寿梨と目が合った。
……アイツと顔を合わせるときは決まってタイミングが悪い。
だから嫌われてるのかも。
とりあえずとっさにいつもの作り笑顔を浮かべてみるけど、
「っ!!」
余計に寿梨をビビらせてしまったらしく、視線をすぐに逸らされてしまった。
……何やってんだろ、俺。