男子、恋をする
一人空回りする俺を余所に、
「うん。じゃーねー」
傍らの那津に何やら告げ、またお辞儀をした寿梨はそのままいそいそと廊下を行ってしまった。
那津のせいでバレてしまったし、朝の観察はここまでだな。
寿梨に手を振る那津を置いて、自分の教室へ行こうと柱の影から出た時だった。
「っ!!」
教室のある方へ振り返るなり、目の前には長身無表情の女子が立っていて、
「…………」
黙って俺の顔を上目に見つめてる。
ていうか、睨み上げてる。
コイツは確か……寿梨の友達で会長の双子の妹 君原 鮎花。
驚いてハッとする俺を一瞥し、君原妹はツカツカと寿梨が歩いて行ったのと同じ方向に歩いて行ってしまった。
……何だったんだ一体。
一人取り残されたように呆然とした俺に、
「大城先輩! おはようございますっ」
数人の女子たちの弾んだ声が、
「おはよう」
「キャーッ!」
日常に引き戻した。