男子、恋をする
……これってもしかして。
「ボールぶつけた所赤いよ」
「ぇっ!」
俺が伸ばした指先を避けるように後退り、乱れた前髪でさっと額を隠してしまう。
だから傷付くって、その反応。
なんて不満と怒りが俺を更に突き動かした。
「保健室で冷やそう。ほら」
入り口に回り込み、教室に侵入した俺を驚いたように見つめる寿梨の手を取る。
「えっ、あ……あの」
「いいから」
ただ一方的に嫌われるのも、一方的に同情されるのも嫌だ。
だったらこっちだって一方的に優しさ押しつけて、一方的に俺を好きにさせてやる。
人気者の模範生徒の意地にかけて。
冷たい寿梨の指先を握り締めながら、保健室に着くまで一人でそんなことを思っていた。