男子、恋をする
兄貴はずっとこんな調子で、女の子をとっかえひっかえしてる遊び人。
もちろん、今の俺と同じ時代にはとっくに童貞なんて捨ててる。
別に人の生き方にどうこう口出しする気はないけど、こんな兄貴を反面教師に今の俺が出来上がってるって言っても過言じゃない。
「寄ってくるんだから無碍に出来ないだろ? おまえみたいに優等生気取ってキャーキャー言われるばっかりで何が楽しいワケ?」
「いいだろ! 俺はそうやって見る目養ってんの!」
「ふーん……。失礼な奴だね」
サラリと言われた言葉に、反論の言葉が出なかった。
だって、その通りだ。
俺は俺に群がる女子を愛想笑いの裏で、いつだってバカにしてきた。
俺の何を知ってて、あんなに嬉々としているのか。
俺の見た目や頭の良さなんかにつられて寄ってくる女子なんてミーハーなバカばっかり。
ずっとそう思ってる。