男子、恋をする
「大丈夫よ。大城くんが寿梨を好きだなんて言ったりしないわ」
「なっ! 言ってる傍から言ってんじゃん!」
「落ち着きなさいよ。素が出てるわ」
慌てて反論した俺に薄く笑った君原妹の顔がやたらに憎らしい。
してやられてんじゃねーよ、俺。
ちくしょー……。
「……わたしが言わなくても時間の問題ね」
カァッと赤くなった顔に呆れながら、クスクスと嫌な笑い方をする。
それがますます恥ずかしくて、頬の温度が更に上がりそうな気がした。
「せいぜい気を付けるよ」
負け惜しみみたいに言い放ち、今度こそ生徒会室のドアノブを捻る。
今からは模範生徒モードON。
例え君原妹の揺さぶりがあろうと、那津の空気破り発言があろうと、寿梨に拒絶されようと……十八番の愛想笑いで乗り切ってみせる。
決意を胸に開いたドアの先で、
「よっ。澪斗~」
「げっ……」
ド派手な金髪みたいな茶髪が笑顔で手を振ってて……思わず石化した。
サヨナラ俺の決意……。
模範生徒の心が扉を開けて三秒で真っ二つに折れた。