男子、恋をする

「なっ……」


なんで兄貴が生徒会室に居るんだよっ!?



思わず叫び出しそうになったのを、会長と乙部と寿梨の視線に気付いて踏みとどまる。



危ない危ない……。


危うく爽やか笑顔な模範生徒大城 澪斗のイメージを自爆で粉々に粉砕させてしまうところだった。



とりあえず小さく深呼吸して、


「……何やってんの?」


那津の隣に座る兄貴の方へと歩み寄った。


隣の那津は涼しい顔で俺を見ているだけ。


後ろでは君原妹が静かにこちらを見据えていて……。


まさしく、四面楚歌。


そして、


「鍵忘れちってさー。つーか、寿梨ちゃんってどれ?」



絶体絶命だ……。



「ばっ!」


せっかく踏みとどまった模範生徒の体裁が、兄貴の一言で一発KOの玉砕寸前。




悪気なくニコニコ笑いながら、まるで何かのついでみたいに寿梨の名前を出した兄貴に、


「ば……バカだなぁ~兄貴。鍵を忘れたりするなんて」



上げそうになった声を呑み込み、とっさに笑って誤魔化してみる。



ギリギリセーフってとこだな。
今のは非常に危なかった。



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