空色


前座バンドはあたし達を入れて2組。

一番最初の前座バンドが演奏を終える。

開場の時から客席をどうしても見回してみてしまうけど、当然彼の姿はない。

期待してたワケじゃない。

分かっていた事だから。

“彼はやっぱりいない?”

ライアンが、他のメンバーに聞こえないぐらいの小声であたしに聞いてくるから。

あたしは無言でうなずく。

“まぁ、まだ明日1日ロンドンにはいるし。今日は…”

ライアンの言葉をあたしは首をふりながら途中で遮る。


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