不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
マイは、私の側に駆け寄ってくる。
「マイもこの電車だったの?」
「うん!」
私は、昨日、コウと海堂マイが中学の同級生と言ったことを思い出していた。
(そういえば・・・コウと同じ中学なら、同じ電車っていうのも納得だね。)
「電車、もの凄く込んでいなかった?」
「うん、込んでた。でも、・・・・」
マイは何か言いかけて、後ろに視線をやる。
マイの視線の先には、田村ジュンが立っていた。
「あれ?ジュンもこの電車だったの?」
私は、いつの間にかコウの横に立っていたジュンに声をかける。
「ああ・・・本当は違うんだけどな。」
「本当は?」
「俺は、この電車じゃないんだけど、コウがこの電車に乗るから、駅までバイクで行って、コウにあわせているだけ。」
「・・・?」
私は、田村ジュンの言っている意味がよく理解できなかったけど、仲良しさん同士ってことかなと自分勝手な解釈をする。
そして、マイが何を言いたいのかもわかった。
「・・・ジュンがいたから、空いてたんでしょ?」
私は、ジュンからマイに視線を移す。
「・・・うん。」
マイは少し笑っていた。