不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
第4節:不思議な国
電車に乗り、家に着いた時には、母親は夕飯の準備中だった。
「ルミ、遅かったわね。」
「うん。友達とケーキ食べてきたから。」
「へぇ~、あなた、もう友達できたの?」
母親が意外といった感じで私を見る。
「・・・私も意外なんだけどね。」
私は母親に笑いかける。
「・・・で、その友達は、男の子?」
母親がいやらしい笑いを浮かべる。
「違うわよ!女の子よ。」
「なんだ、つまんない。」
母親は、私の言葉に一気に興味をなくしたという感じで夕飯の仕上げに戻っていった。
「何よ、つまんないって・・・」
私は、野次馬根性丸出しの母親に小声で文句を言いながら、台所の冷蔵庫を開ける。
「あれっ?・・・お母さん、冷蔵庫に入れといたプリンは?」
私は、買っておいたプリンが無いのに気づく。
「・・・さあ?そこに無いなら、誰か食べたんじゃないの?」
「・・・誰か食べたって、お父さん、プリン嫌いだから、食べるのお母さんしかいないじゃない!」
「そんなに食べて欲しくないなら、名前書いときなさいよ!」
母親が私に逆切れする。
私は、そんな母親を睨みつけるが、そんなことしても今さら私のプリンは帰ってこない。