想うのはあなたひとり―彼岸花―


でもちょっと想像してみる。
皐がホストだったら…と。



まぁ何となくわかるかな。
すぐナンバーワンになるんだろうな。
周りにはたくさんの女の子がいて…何か嫌になってきた。
勝手に想像したのはいいけど、腹が立ってきた。


やめよ、やめよ。
考えるのはよそう。




「でもさぁ、皐教えてくんないんだー。バイト何やってるか。何か時給はいいみたい。この前電話かかってきてさ。バイト帰りに。時計見たら夜中でさ」



「そうなんだ。雰囲気とかで分からないの?」




「分かるかよ。だって皐は自分のこと知られんの嫌いだろ?だから聞いたりしない。つかしたくない。そこで皐の機嫌損ねたくないし」




そう強く眠る皐に向かって言った弘樹に心が撃たれた。
弘樹は皐想いなんだと思った。大事にしてるんだな。
まるで猫の飼い主のように。




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