forever~愛しい人へ

揺れ動く想い


―陽菜―


あれから何分経ったんだろう。
まだりょーちゃんの腕の中。

お互い何も話さず無言。
りょーちゃんの体温が
体中に伝わってきて、
私の胸のドキドキは止まらない。
大嫌いなはずなのに
りょーちゃんの腕の中が
すごく落ち着くのは何で?



「…りょ…ちゃん」

名前を呼んで顔を見ると
りょーちゃんは謝って
私から離れた。

りょーちゃんは軽いから
慣れてるかもしれない。
だけど男経験の少ない私は
全然慣れてなくて

こういうのは好きな子と
するもんじゃないの?

誰にでも抱きしめるの?

そう聞きたいのに
臆病な私は聞くことができない。

私変なとこで弱気だな…


「ごめんな。余計嫌われたな(笑)」


さっきまで大嫌いなんて
言ってたけど、
今のりょーちゃんの顔を
見ると…思えなくなる。

私がひどいこと言ったのに
追いかけてきてくれて
ちゃんと謝ってくれて…

本当はいい奴だって
思ってきてる。

ただ…素直に言えないだけ。


「気にしてないし。嫌いに
なってないから…」

「そっか。よかった。」


本当は抱きしめた理由も
切なそうにする顔も
全部知りたいの。

だけど私は強がりだから。










あのときだって
私が素直に言えたら
りょーちゃんは…
戻ってきてくれた?

ねぇ…今なら簡単に言える。
゙逢いたい゙って…。

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