【短】隣のお兄ちゃんと私
そして、すぐに電話に出た。



「あっもしもし?拓海?…うん、あっよかった。材料揃ったんだ…うん…」



自分の後ろでブリザードを背景に背負ったお兄ちゃんの顔が盛大にしかめられていることには全く気付かず、必要事項の確認をした私は「じゃあね」といって携帯をきった。



「ごめんね、お兄ちゃん…わぷっ!」



お兄ちゃんに謝りつつ振り向いた私は最後まで言葉を続けることができなかった。


お兄ちゃんの膝の上に抱えあげられてしまったから。


ま、またこのパターン!!?



と思ってお兄ちゃんに抗議しようと上をむいた私は、そのときになってやっと気付いた。


お兄ちゃんの顔に、悪魔が浮かべるような綺麗だけれど恐ろしい笑みがはりついていることに。
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