昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
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地球の温度が2・3度上がったみたいやった。

人の多さと、そのひとりひとりのテンションの高さが、空気の熱を膨張させとる。

お祭り当日。向かう人みんな、足が地面から3センチくらい浮いてんねん。ソワソワふわふわして。


祭りの場所の近くにある公園。


「…ウソやん」


…そんでここにも、ソワソワしとる男女が一組。


「えっ…え!?なんで優子、え?」

「…"え"言いすぎやし」

「いやだってなんで浴衣なん!!絶対着ぃひんって言いよったやん!」

「…着たあかんのかいな」


慣れない下駄の鼻緒が、ウチのでっかい足をしめつけとる。

浴衣は大丈夫やったけど、さすがに下駄はお母さんのサイズ入らんくて。

買いに行ったがな、26センチをな!!たかが下駄、されど下駄。こんなおっきいと凶器にもなりうるで。

自嘲的な気持ちで下駄見つめとったら、突然風間に手ぇ握られて。

ビックリして、なぜかもう一個の手でも握り返してもうた。首脳の会談かっつー話や。


「……ふ」

「なによ」

「いや、首脳の会談みたいやなぁ思て」

「(思とるんとおんなじこと言わんといてか…)」

「……帰る?」

「かえ…………はぁ!?」


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