昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

いやいや帰るて。まだ始まってもないしまだ若干薄明るいしまだ待ち合わせで会ったばっかりですけども。


「…なんでや」

「だって今めっちゃギューてしたいもん。」

「ぎ、」

「でも外でしたら優子怒るやろ?」


そう言ってちょっと拗ねたみたいにウチを見る風間。


「………っ」


あああああ。ホラ見てみ。また1度、温度上がったやんか。

毎回のことやけど、風間はなんかずるい。


「〜ええからっ!行くで!!」


風間を引っ張ってズカズカと公園を出る。

…あれ。これってなんかフツーに手を繋いでお祭りな流れに自分で持っていってもてませんか。


それにしてもすごい人や。みんなやっぱ花火みたいねんな。

上の方でまとめられた髪。

紺。ピンク。緑。青。
浴衣を着たおなごが、同じ場所に向かって次々と流れてく。


「女の子の浴衣姿って、やっぱかわええなぁ」


…あ、中年のおっちゃんみたいなセリフ吐いてもた。しかもしみじみと。


「ほら見てん、あのピンクの子どっかのモデルさんみたい──」
「え?優子が一番かわいいけど」


「…………」


「優子が最もかわいい」

「言い直さんでええから」


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