昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

焼き鳥、ビールを両手にしたら、それだけでだいぶええ気分になった。

蒸し暑い空気の中、浴衣の内側でつぅっと汗がすべり落ちる。

ビールをゴクッと一口飲んで、焼き鳥をむしゃっとひとつ食べれば。


「「う…っま〜!!」」


風間と目を合わせて笑いあう。

それだけで気分は最上級。簡単にできとるなぁ、人間て。


「家とか焼き鳥屋で食べるんもおいしいけどなぁ、やっぱ出店で買うて食べるんて格別やない?」

「格別格別!!祭りブランドやし」

「なんやねん祭りブランド」

「えー…ホラ、祭りの独特の空気感がスパイスとなってですね」

「ははっ!スパイス!!」

「はは、つぅかな〜俺実は鶏よりこの間にあるネギのが好きやねん。」

「…ほな焼きネギ食べたらええんとちゃうん」

「あ〜ちゃうねんて!焼き鳥に挟まれたこの希少価値感がええねんて」

「ごめん、全然わからん」


アホでしかない会話をしながら、ずっと出店が立ち並ぶ道を練り歩いた。

…焼き"鳥"なんやからメインはやっぱネギやなくて鶏肉ちゃうの。


「ちょっと来るん早すぎたかなぁ」

「ん?」

「だって花火まだまだやし」


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