昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

「いつ…っ、いつの話!?おらんなってから結構時間たつ!?」

「じゅ…15分くらい、やけどぉ…っ」


気づいたら先に体が動いてた。立ち上がってた。

走り出しながら、大声で後ろに向かって叫ぶ。


「捜すわ!アンタはそっちな、ウチ向こう見てくる!!」


頭ん中は空っぽで、なんも考えなんかなくて、ただ捜さな。見つけなって思った。

走っとるつもりやのに、普段の歩くスピードより遅い。下駄もやし、なにより人が多すぎて。

流れに遡っとる自分、産卵に向かうシャケみたいや。掻き分ける、掻き分ける。背中を伝う汗が勢いを増す。



どこにおるか、なんて。


わかっとるんは、かっちゃんが今。ウチと同じ、この場に来てるってことだけ。


…なんなん。

なんなん、なんなん、ホンマ。


行方不明とか。

倒れてるかもとか。


久しぶりに名前聞いた思たらそれかいな。

どんっだけ貧弱やねん図体デカイくせに倒れるとか、倒れるて人生のうちでそうそう頻回にあることちゃうでなあ!?ウチらのばあちゃんのが元気やでなほんま、あーもうきっとまたジャムパンとかカップラーメンばっか食べて……






…なんでウチ、こんな必死にかっちゃんの心配してんの。





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