昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
唇がゆっくり開いて、息が漏れる。
「…………か、」
「…なにしよん、こんなとこで」
「〜なにしよんはこっちのセリフや!!…だ、大丈夫かいなっ!?あのホラ、気分悪い〜て…」
「あー…うん?人酔いしただけ」
ほんまに毎年よー混むよなぁ、大した祭りでもないのに。
そう言うて、大きく伸びをしながら立ち上がるかっちゃん。その緊張感のなさは、今この瞬間には不似合いな気がした。
「………」
「つーか、ゆうも来てたんや」
「……うん」
2文字だけ。やのにその声が少し震えてたことにびっくりした。
ほんまにびっくりして。
だって、もう大丈夫やと思てた。ちゃんと決めたから、大丈夫やって。
もう風化されたと思てた。もう動揺することなんてないと思てた。
実家で写真見たときも、平然としとったのに。この頃はよかったなぁとか、そんな年寄りみたいなことを。
…けどちゃうかった。
瞳の揺れが大きくなる。
写真みたいな平面やない、生身の熱を持った塊に会うたら、一瞬でどないしてええかわからんなった。
だって今、こんなにも動揺しとる。
「…浴衣とか、珍しない?」
「…なんか文句あるん?」
「はっ、珍しいゆうただけやんけ」