昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
ああああーもう…なんかすんません…。

いっそ拝みたい気分やわ…。


「かっちゃんのエロ親父…」

「?」


ボソッと呟いて顔半分お湯に沈める。

顔半分だけ温泉効果でツルっツルんなるわ。半分だけ剥いたゆで卵みたいなるわ…。

不思議そうに首を傾げるさくらちゃんは、ぷっくりした唇を開いて言った。


「まーちゃん!せっかく女の子同士やから一個聞いていいかな…?」

「ええよ?なに?」

「うん…まーちゃんてな…初めてしたん、いつ?」



ゴホォッ!!


ゲホッゲホッゴホッ

ガホッグハッボゲェッ!


…実際にむせたけど、心の中でもむせた。

温泉のお湯飲んだ。おいしない。おいしくないし答えられるワケがない。


それは大学一年の冬で、相手はアナタの彼氏です…なんて。

しかも不覚にも絶賛片思い中だなんて。間違えた、不覚やない。"一生の"不覚や。


言えるワケない。


あんまりにも真剣な顔で見つめてくるさくらちゃん。

あったかい温泉のはずやのに、冷や汗かきそうになる。


「あ…えー、と…」

「うん!?」

「だ…大学生になってから…かなぁ?」


曖昧に答えて、曖昧に笑った。

多分顔、ひきつってる。


ズイッて近寄ってきたさくらちゃんの次の一言に、また温泉のお湯飲みそうになった。


「…それって、風間くん?」


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