好きだけじゃ伝わらない。


「なんや!永斗」
愛菜の声がした。

それは
隣の席の男の子の
石井永斗くんだった。


「大川さん、みんなに
言い寄られて困ってるように
見えた」

きっと不器用な男の子なのだろう。
そっけなく、言い捨てた。

でも私は、男性恐怖症。
怖いんだ。

何か考えてる…
じゃなかったら私に
助け舟を出したりしない。
どうしてだろう。
やっぱり…



私を呼ぶ声がする。
優しく苗字を呼ぶ。
優しく名前を呼ぶ。
そんな風に呼ばないで。

私の過去が語りかけてくる。
“男なんて、みんな同じ
また、あなたを傷つける”


だめだ。
呼吸が上手く出来なくなってきた。

「…っ、はぁ…っ、はぁはぁ」

あぁ。だめ。
転校初日に発作が出るなんて
思いもよらなかった。

「美依亜??」


愛菜の声がする。
でも、だんだん遠くなってきた。


もう誰の声も聞こえない。
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