蒼い太陽
青々とした芝生が綺麗に切りそろえられた庭や色鮮やかな花であふれている庭、どこかの城の中だろうか、太陽族の城とは異なる大広間、噴水…幾つもの景色がファリシアの目の前を通り過ぎていった。


やがて、何処からかまるで頭の中に響くように声が聞こえてきた。


『…とんでもない事をしてしまいましたね、ルティア様。』


『ご…めんなさい…こうするしか、私には…』


『しかし、皆はあなたを許す事は出来ないでしょう、あなたとあの者の関係も…この存在についても。』


『わ…私は怖いのです。このままだと、恐ろしいことを…願ってしまいそうで…願ってしまったら…族宝は私の感情を読んで…発動してしまう、そんなことになったら、私は…』


『ルティア様…』







泣いている若い声が族長のものなのだろうか…もう一つの、少し嗄れた声は何だか、聞き覚えがあった。


でも、族長と会った事があるなんて、教えてもらったことがない。


どうして、これがおばあちゃんの声に聞こえるんだろう?




――――――…


突然光りが止んだ。


まるで夢の中にいるような感覚からファリシアはハッと、腕を目から離して周りを見渡した。

「レ…ガート様?」


ファリシアが声を漏らした。


絵画の間に居たはずのファリシア達は何故か中庭にいた。


一体何が起きたのだろう、アヤトもユウもダリアもミシャでさえ、状況が飲み込めずに呆然としていた。


目の前にはレガートとリリが重苦しい表情をしながらファリシア達を待ち構えていたのだ。


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