Anniversary
「うし、こんなもんか。机2つもあれば足りるやろ」
つまり…どうやら、先に置いてあった机を運び込んだのも、みっきー先輩だったようだ。
――じゃあ、この月見団子も……?
「ひょっとして……もしかして先輩が“月見団子担当”、だった、とか……?」
「おう。もしかしなくてもそうやけど?」
「―――作ったの!?」
「―――まれにオモシロイことを言うねキミは……」
驚いた私の額へ即座にデコピンをくれながら、「団子は和菓子屋で買うてきたんや」と、先輩は笑う。
「いくら何でも、団子の作り方までは知らんてオレは」
「いやいや……先輩のことだから、調べるなりして自力で何とかしたのかと……」
「――桃花(ももか)チャン…? キミはオレのこと、どんな人間やと思ってるんかなー?」
「うーんと、…“何があっても不思議じゃない人”? …かな?」
「―――なら、仮にオレが『実は月から来た“宇宙人”やったんや』って言ったとしても……『不思議じゃない』で、済ますんか……?」
「うん、そうだね、先輩なら信じちゃうかもー?」
「―――シバくで、本気で?」
そうして、むっちゃくちゃ笑顔で先輩が冗談まじりに拳を振り上げて、私が大ゲサにキャーキャー言いながら逃げる真似をしていたトコロで……、
「…なーにやってるんだ、そこのバカップル」
呆れたように響いた、その低い声の主は。
天文部部長の吉原(よしはら)先輩。
ガチャっと屋上の扉が開けるなり、そのにこやかに微笑みを浮かべた顔を覗かせ、大きい身体を屈めながら低い扉をくぐるようにして足を踏み入れると、こちらに歩み寄ってきた。