Anniversary

「コンセプトって……“天文学的な観点と昔ながらの伝統を交えて”どーたら、とかいう……」

「桃花? この“月見計画”の企画立案が、“あの”先輩方やで? ――そんなマジメで真っ当っぷりを貫いてるハズ、無いやんかー。そんなもん、建前や建前!」

「はい……?」

 そしてニヤニヤと笑って私を見下ろす先輩ーず2人を見上げてキョトンと首を捻って傾げた、

 ―――まさにその時。

 屋上の扉が勢い良くバタンと開いた、と思ったら……―――、


「待たせたな諸君! 葡萄(ぶどう)界の王様、巨峰さん登場ーっっ!!」

「ご苦労だ諸君! 同じく、梨は豊水到着!!」

「驚くがいい諸君! 青魚代表は、なんと脂タップリの秋刀魚(サンマ)サンだ!!」


「「「3人揃って、我等《月に感謝を捧げ隊》、見参!!」」」


「…………」


(―――だから……何がやりたいんだアンタら………)


 ドアを開けたその場に居たのは……それぞれの手に葡萄・梨・秋刀魚を携えて、何だかよくわからないアヤシゲなポーズを決めた、

 ――3年の、坂本(さかもと)・葛城(かつらぎ)・田所(たどころ)先輩の、お三方がた。

 思わず脱力して点目でその場に硬直した、眩暈のあまり立ちくらみMAX状態な私とはウラハラに……、

「おう、待っとったでー《捧げ隊》の皆さんー」

「先に出てったクセに遅いと思ったら……そのポーズの練習でもしてたのか?」

 ナゼかそれをスンナリと当然のよーに受け入れている、みっきー先輩&吉原先輩。―――ちょっと待て?

 ――いいの、ツッコまなくて……? ツッコミどころは、満載よ……?

 なのに先輩たちは、「ハイ、じゃー盛り付けますからー」「つーか秋刀魚は焼いてこい」とか何とか言いつつ、“自称《月に感謝を捧げ隊》”の面々の手からそれぞれの“お供え物”らしきブツをもぎ取っては、サッサと机の上に手際良く並べてゆく。
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