Anniversary

 私の手が握り締めたのは、――栗の枝。

 しかも実が、イガイガごと何個もくっついている、そんな枝。

 しかも都合よく3本。

 それは、やってきた早乙女(さおとめ)くんが、「ちわーす、栗もってきましたー」って吉原先輩に渡して、まさに今ちょうど机へ並べられようとしていた“お供え物”。

 …とは解っていながら、私はブンッとそれを投げ付けた。

「ほっほっほ」なんて悠長に笑ってらっしゃる、“自称《月に…(以下略)》”の“月見に興じる平安の公達ごっこ”とやらに余念のない、その3人へと思いっきり。


「自分達のくだんない楽しみのためだけで天文部ごと巻き込むのは……いい加減、やめろッつーのーーーーーッッ!!!!!」


 ―――私の大絶叫と共に……モチロン、その場が阿鼻叫喚の地獄と化したことは、言うまでもない。
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