紅い月
「試すか?」




「・・・イヤ、止めておく。」




いつもならやっていただろうがやると返事をしようとしたとき、山崎の心配する顔が見えた気がして気付けば断っていた。




「まぁ、取り敢えず今日はもう寝ておいたほうがいいぜよ。顔色も余りよくない。ほれ依岬、わし等は慎さんを迎えに行くぜよ。」




才谷はそう言うと依岬を引っ張って部屋を出て行った。



二人が出て行くと凛はばふっと布団に倒れ込む。




山崎は心配しているだろうか・・・?




イヤ、もう面倒になっただろう・・・。それで私の事を忘れて・・・




忘れて。





そう思っているのに心のどこかでは山崎が迎えに来てくれるのを待っているのかもしれない。





矛盾しているな・・・








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