魔女のカウントダウン☆
その内、幸也が楽しい遊びを見つけた子供のように、スキーに夢中になりだした。
段々と身体と板が、自分の思う通りに、動き出したのである。
それからの幸也の上達は、恐ろし程、早かった。
夕方になると、ほぼ、板を揃えて、中級コース位からは、軽やかに滑ってこれるようになっていた。
『大分、上手くなったね幸也!』
あたしは、幸也に声をかけながら、一緒に滑った。
幸也からは、なんの返答もない。
まだ、滑っている最中に話す余裕はないらしい。
けれど、エッジをきかせて止まると、ゴーグルを外して
『める、スキーって、面白いな!!』
と言って笑顔を見せた。
その夜、夕食を済ませると
近くの野外ステージで、コンサートが行われると、ホテルの支配人に訊いたので
あたし達8人は、何枚も重ね着をして、その上に防寒着を着込み、 コンサートに出掛けた。
さすがにスキー場だ、夜になると、凍てつくように寒い。 時々、垂れてくる鼻水も急いですすらなければ、凍ってしまうと思った。
隣を歩く幸也を見る。
鼻の頭が、赤鼻のトナカイになっていた。