魔女のカウントダウン☆

『ほら、める!メソメソしないの… また、夏頃になれば、文人君戻ってくるわよ』


ハンドルを握りながら歩夢が言った。

『そうよめる ほらポッキー食べる?』

加奈が助手席から、こちらを振り返る。
去年同様、ポッキーが差し出された。
あたしは、ポッキーを受け取り、隣の美紀に渡す振りをして、食べた。


『あら、今年は割りと、元気ねえ〜』

美紀が首を傾げて、笑う。


間もなく、高速の入り口が見えてくる。
ETCゲートを抜けて、一気に加速する歩夢のパジェロ
4人分のスキー板が風に煽られ、カタカタ音をたてて鳴っている。


今年は、最初から元気なあたしで、思いっきりスキーを楽しもう! と心に決めていた。


やがて、現地に到着するとあたし達は、仮眠を取り、翌朝、一面に広がる銀世界に、歓喜の雄叫びをあげながら、ゲレンデに駆け出す事になる。

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