魔女のカウントダウン☆

幸也は、一瞬だけあたしを見ると、すぐに隣の女に視線を滑らせる。

たまらず、あたしも慌ててそっぽを向いた。

一也と歩夢、加奈と哲太も、お互いに 気まずいのか 一瞬目を合わせたものの、双方、慌てて顔を反らせた。

美紀は、美紀だけは 真っ直ぐに雅彦を見詰めている。


『アハハ…まいったな』

名前を大声で呼ばれた雅彦は、困り顔を浮かべて、頭の後ろを撫でるようなしぐさを見せていた。

『誰、知り合い?』

髪の長い隣の女が、雅彦に問いかける。


『いや、何かの間違いだろ』

雅彦は、そう言うと 女の肩に手をかけ美紀の横を素通りした。無言でうつ向く美紀…。

雅彦の後に続く 一也と哲太…。 それぞれの横には、女がいる。


そして、今 幸也があたしの側を、通り過ぎて行く。
女と話しながら、笑みを浮かべている幸也が、横目にちらりと映った。


『…最悪』

歩夢が、天を仰ぐように上を見上げる。

シーンと静まり返ったロビー

今年のカウントダウンは、今迄にない 史上最悪の予感がした。


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