魔女のカウントダウン☆

あたしは、引き吊り笑いを男に向ける。

あっちがあっちで楽しんでいるなら、こっちは その数倍楽しんでやる!!


そう思ったのだ。


男は、次々と色んな料理をあたしに運んできては、面白ろ 可笑しく 会話を弾ませてくれた。
笑顔で相づちを重ねたあたしだったけど、気がつけば、食い意地をはった男の顔を思い出していた。

…ちょうど一年前は、幸也があたしの隣にいたんだ。 美味しそうに料理をペロリと平らげて 『お前のも味見させてみ』なんて言って 彼はあたしの皿に、フォークを伸ばした。

あたしは、あの後、彼に何て言ったんだっけ?
鮮明に甦ってくる記憶・・・

そうだ…思い出した。

あたしは幸也にこう言ったんだ。

『ずるいよ、あんたの皿 空じゃない! 食べたかったら 自分で盛ってきなさいよ!!』 てね。


『めるのケチ!!』

ふて腐れながら、バイキングに向かう幸也に あたしは

『あっ、ついでにキャビア山盛りで宜しく!』

そう 追加注文をしたのだった。



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