魔女のカウントダウン☆
その時、ふいに背後から肩を叩かれた。
振り返ると先程のスーツ男が立っている。
『急にどっかに行っちゃうから、心配して探しちゃったよ…』
男は、そう言いながら、笑顔を見せた。
『める、この人誰よ?』
美紀が脇腹をつついて、訊く。
『あっ、えっとぉ〜』
あたしは、戸惑った。
だって、この人の話に上の空だったあたしには、彼の名前が思い出せないのだ。
だが、彼は 自分の方から自己紹介を始めた。
しかも、友達を呼び寄せて美紀に紹介までしたのだ。
美紀は、笑顔でとりつくろっていたけど、明らかに困惑していた。
それでも、和やかに時間は過ぎて行く…。
壁の時計を確認すると、PM11時を回っていた。
カウントダウン迄、一時間弱
あたしは、輪の中から抜けて、平皿を持って、バイキングの列にならんだ。
最後にローストビーフを後、2切れ程食べておこうと思ったからだ。
シェフが目の前で、切り分ける、ローストビーフは、柔らかくて、絶品だ。
見ているだけで、ヨダレが落ちそうになる。
だが、そのローストビーフは、無情にも、あたしの目の前で 本日終了をとげた。