ビターチョコレート
「えっ…、だって自分、真田俊也やろ……?」
そう聞いたあたしの心は俊ちゃんであって欲しいという思いと、彼が俊ちゃんなら本当にあたしの事を忘れられている、だったら俊ちゃんでなくて欲しいという思い、そんな矛盾した感情か交錯していた。
「俺だってわかってんだ。じゃあなに?新手の嫌がらせ?」
俊ちゃんがなにを言っているのか一瞬わからなかった。
「……えっ?違う、そんなんじゃない…。……ほっ…本間に忘れたん……?」
忘れられたなんて信じたくなくてそう言った。
なのにあたしの期待は悉く崩れ去っていく。
「忘れるもなにも俺はあんたなんか知らねぇよ。」
そう言った俊ちゃんの表情は明らかにさっきよりも険しかった。
いい加減にしろよと言わんばかりの顔だった。
だんだん視界がぼやけてくる。
でもそこで引き下がれるはずもなく、言ってしまった。
余計な一言だったのかもしれない。
「俊ちゃんとあたしは幼なじみやもん!!絶対そうやもん!!」
泣きそうになるのを堪えながら必死に言った一言だった。
俊ちゃんの方を見てみるとやっぱり表情は険しくて、何を言われるのかわからないのがすごく、すごく怖かった。
これ以上の事を言われたら自分が壊れてしまいそうなくらいに…。