姪は叔父さんに恋してる
何かしたい。叔父さんに。
反省の言葉より、感謝の言葉よりも何か、特別なことを。
どこか夢心地な私の頭に浮かんだのは、叔父さんの好きな…。
「…叔父さん、お腹空いてない?」
ぽつりと訊ねると叔父さんはすぐに、
「とっても。」
素直に答えてくれた。可愛い。
悶えていたいけど、空腹な叔父さんを放っておくなんて悪魔の所業、私には出来ない。
「少し、待っててくれる?」
離れたくない体を無理に離しながら言う。
叔父さんはちょっと名残惜しそうに眉を下げた。可愛い。
「どこへ?」
「叔父さんを喜ばせる物、持って来るの。」
喜ばせる物と聞いて、叔父さんの表情が少しだけ和らぐ。
「すぐ戻って来てくれるか?」
まるで主人を待つ犬みたい。
私は笑顔で頷き、叔父さんから完全に体を離した。
叔父さんを喜ばせる物を取りに行くために。
実質的に放っておくことになるけれど、その分たくさんお礼しなくちゃ。
病室を出るまでずっと見送ってくれた分も含めて。