姪は叔父さんに恋してる
智之にはまだ言ってなかった気がする。
私が叔父さんを好きなこと。
だからか、智之が怯んだ一瞬の隙に私は扉を開け放って……、
「病院で騒いではいけないよ、八智絵。」
なんと扉のすぐ向こう側から、華実先輩が顔を出してきた。
綺麗な黒髪が顔に影を作るように垂れているから、表情はよく分からない。
でも声は、いつもみたいな男の人っぽい余裕がある。
「華実……。」
名前を呼んだのは私ではなく智之。
華実先輩はふっと笑って、私を押さえ付ける智之の手を剥がした。
「智充叔父さんが事故に遭ったと聞いた時は驚いたけど、元気そうで良かった。八智絵がずっと傍にいてくれたんだってね。」
「あ……、は、はい……。」
何だろう。
顔は笑ってるのに、華実先輩何だか辛そう…。